Makingものづくり
一本になるまで、町を渡る。
燕三条には、一つの仕事を深く磨いてきた工場が近くにあります。材料から検品まで、それぞれの得意をつなぎ、一本にする。その順番を、使ったときの違いとともに紹介します。
第1工程
鋼の手配
切れ味を支える鋼を用意する
芯材にはSPG2粉末ハイス鋼を使います。切れ味が長く続きやすい一方、すぐに手に入る材料ではありません。現在は手配から到着まで約八か月かかります。
第2工程
熱処理と冷却
マイナス100度以下まで冷やす
熱を加えて終わりではありません。焼入れと焼戻しのあと、さらに低温まで冷やして鋼の状態を整えます。目には見えない工程ですが、鋭さを保つための土台になります。
第3工程
刃の研削
刃の厚みを整える
刃の面を削り、厚みと形を整えます。食材へ軽く入る感触は、最後の研ぎより前からつくられています。
第4工程
刃と柄の接合
別々につくった刃と柄をつなぐ
別々につくられた刃と柄をつなぎます。境目を残したままにはせず、次の仕上げで一つの道具として整えます。

第5工程
柄の成形
金属板から中空の柄をつくる
木柄の高級感をなぞるのではなく、洗って拭き、また翌日使う道具として金属を選びました。起点は、燕の彫金師・長谷川清さんが銅でつくった原型です。左右の部材を合わせても稜線が途切れない形を、金型とプレス成形で繰り返します。
銅原型で決めた輪郭を金型へ移し、金属板をプレスして左右の部材を成形します。
原型をつくった長谷川清さんの仕事第6工程
表面仕上げ
面と稜線を磨き上げる
表面を磨き、光の受け方と手に触れたときの感触を整えます。金属の柄に刻まれた面と稜線が、ここで見える形になります。
第7工程
刃付け
食材への入り方を決める
職人が刃先の角度を確かめながら研ぎ上げます。食材に触れた瞬間の軽さを決める、最後の工程です。
第8工程
検品
一本ずつ目と手で確かめる
刃線、柄のつなぎ目、全体のゆがみを確認します。工程を渡ってきた一本を、人の目と手で確かめてから送り出します。